移動平均線について解説していきます!
移動平均線
移動平均線(Muving Average)は、テクニカル分析に使用されるテクニカルインジケータの中で最も有名なインジケータです。
移動平均線を基に開発されたインジケータや手法も数多く存在し、普段テクニカル分析をしないトレーダーも常に意識している程、マーケットにおいて大きな存在感を放っています

計算式
移動平均線は下記の計算式で算出されます。
例えば「50日移動平均」だったら、昨日の足を1本目とし、50日間遡ります。
その50日のそれぞれの終値を合計し、「50」で割った数字が今日の移動平均値となります。
計算式はそれほど大事ではありません。
覚えておきたいのは「終値を使っている」というところです。
移動平均線が教えてくれること
さて、ここからは「世間ではなかなか言われていない話」をしていきます。
まず、「そもそもマーケットはなぜ動くのか」を考えてみましょう。
仮に、「増収増益を繰り返す財務も健全な上場企業」があったとして、その企業の株価はどうなっているでしょうか?
「将来の業績にも期待ができるから株価は上がっている」というのが一般的な意見です。
具体的に見てみましょう。例えばこんな業績の企業はどうでしょうか?
2020年のコロナ禍のダメージも大して負わずに、順調に売上を拡大しています。
2022年には純利益が減少していますが、売上高は伸びているということで、おそらく特殊な出費(設備の購入等)があったのでしょう。財務に問題はないような銘柄です。
この企業の株価は、このように推移しています。
なんとも残念な結果ですね…。
このように、「その銘柄が持つポテンシャル」は価格の推移に直接的な影響はあまりないということです。
では、なぜ価格は上がるのでしょう?
だったら、なんで価格は上がるのでしょうか?
答えはシンプルです。「買いたい人が多いから」これに尽きます。
どんなに業績が悪い企業の株でも、それを買いたい人が多ければ株価は上がるのです。
さて、ではこの仕組みは移動平均線にどう関係するのでしょう?
移動平均線は終値を使用しています。
そもそもマーケットは、「この価格は安すぎるよ」と思う人が多ければたくさん買いが入り、「いやいやこの価格は高すぎるよ」という人が多ければ売りが多くなるわけです。
そして、「うん、その価格は結構妥当かもね」という水準が終値になる。というのが終値に対する一般的な考え方です。
このことから、移動平均線が終値を使用していることにより、移動平均線は「その期間のマーケットの平均売買価格」を示していると言えます。
例えば先ほどのドル・インデックスのチャートは、緑色の50週移動平均線より高いところで価格が推移しています。
ということは、「過去50週で買った人は含み益の状態で、売った人は含み損の比率が高い可能性がある」ということになります。
世界中のポジションを持っている人に片っ端から「いくらで買ったの?今含み益?」と聞いて回るのは不可能ですが、移動平均線を使えばなんとなくそれを知ることができます。
様々な移動平均
移動平均線には、基本的な考え方は変えずに計算式を変えたいくつかのバリュエーションがあります。
単純移動平均線(SMA)
単純移動平均線(Simple Moving Average, SMA)は、指定された期間の終値の平均を求めて表示するものです。
例えば、50日移動平均線なら、過去50日間の終値を足して50で割った数値を日々更新していきます。
ここまでで解説した移動平均線はこの単純移動平均線です。
SMAは最も一般的な移動平均線ですが、過去の全データを均等に扱うため、最新の価格変動に対する感度が低くなるというデメリットがあると言われています。
指数移動平均線(EMA)

指数移動平均線(Exponential Moving Average, EMA)は、最新の価格により重みを置いた移動平均線です。
単純移動平均は、例えば50日なら「50日前の終値と昨日の終値の重要度って同じなの?」という疑問点が拭えません。それを解消しようという考え方から開発されました。
直近の価格変動を重視して算出されるため、SMAよりも価格変動に対する反応が速くなります。
EMAは短期的なトレンドの転換を把握するのに適しており、特に短期取引やデイトレードなど、短期間での価格変動を重視する投資家に人気です。
ただ、逆に最新の小さな値動きも拾ってしまうので、それはデメリットだという意見もあります。
加重移動平均線(WMA)

加重移動平均線(Weighted Moving Average, WMA)は、期間内のデータに一定の重みをつけて計算する方法です。
最新のデータにより多くの重みをつけることで、EMAと同じ様に、直近の価格に敏感な反応を示します。
WMAは計算が複雑な分、より正確だと言われています。
どれを使えばいいの?
気になるのは「で、どれがおすすめなの?」というところですね。
結論から言えば、好みでいいと思います。後述しますが、移動平均線はマーケット参加者のポジション状況を推察するのには役立ちますが、これだけでトレードするというのはなかなかリスキーです。
その為、「参考程度に見る」というくらいに留めておくのが良いでしょう。
また、SMA、EMA、WMAは結局近い数値を示します。
例えば下記チャートの移動平均線は、期間はすべて50の水色がSMA、赤がEMA、緑がWMAです。
デイトレードのような短期のトレードだと気になる差ですが、数日〜数週間のポジション運営をするのであればあまり気にならない誤差と言えます。
移動平均線の限界と注意点
どんな手法も完璧ではありません。移動平均線にも、いくつかの弱点があります。
- 遅行性:移動平均線は過去のデータに基づいているため、現在の価格変動に対する遅れが生じます。これを解決しようして開発されたのがEMAとWMAですが、それでも限界はあります。
- レンジ相場:移動平均線は過去一定期間の平均売買価格を示すものですが、逆に言うと「絶対に算出できる」という弱点があります。例えば、誰しもがポジション構築を避けるようなレンジ相場でも、マーケットが開いている限り「終値」は生成され続けるわけです。レンジ相場における移動平均線はあまり意味がないというのは、注意しておかなければいけません。
- 一時的な変動への対応:例えば経済指標や要人発言、天変地異や戦争の勃発などが起こり、それに対する一時的な急変動中に「終値を決める時間」がやってくるとその価格が移動平均線に影響を与えます。しかし、それはあくまで一時的な動きですから、重要視するのはちょっと違います。
移動平均線は「他のマーケット参加者の状況」を窺い知れることができるという特徴において、数あるインジケータに対する圧倒的な独自性、優位性を持っています。
が、上記のような弱点があることも事実です。
「今は移動平均線の価格は重要じゃないな」などの判断をしっかりしないと、移動平均線の真価を発揮させることは難しいでしょう。














